へら鮒情報局

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「寒いねぇ、寒のもどりってやつだよね。これでは両ダンゴはちょっと厳しいんじゃない?」 3月下旬某日、ダウンの襟元を合わせながら、小池は釣り仕度を急いだ。桜は今まさに満開期を迎え、「寒のもどり」「花冷え」と称される、早春期によくある冬への逆戻りの一日である。やはり人気釣り場なのだろう、富里の堰は土曜日ということもあって、7 割方の入りで、釣り人のほとんどは、固形セットか底釣りをやっている。この時期に両ダンゴというのは普通では思い至らないものだ。ただ、両ダンゴでは厳しいかなぁ、とつぶやいた小池の顔にはそれほど不安げな様子は表われていない。
「これだよ、このエサ!」と、バッグからとりだしたのが、新エサ「ダンゴにマッチ」である。
「ほぼ一年以上かけて、色々な釣り場で試釣りを繰り返してきたエサで、絶対の自信をもってるんだ」。小池の自信の表われは、ダンゴにマッチに対する信頼の表われだったのだ。

仕掛けを準備する前に、エサ作りにかかる。
*オールマイティ  ・・・120cc
*グルダンゴ    ・・・120cc
*ベーシック    ・・・120cc
*水        ・・・120cc
と、ここまではいつもと変わらない配合、手順であるが、少し時間を置いた後、
*ダンゴにマッチ  ・・・120cc
を、加えて、15回ほど撹拌する。

「このエサはまとまりが良く、しっかりと芯残りさせる特性があるんだ。だから、なじみも出るし、アタリも明確になるよ」小池の「ダンゴにマッチ」の解説はこうだ。
BASICの両ダンゴシリーズ、「単品爆釣A・B」、そして、この日配合に使った、「ベーシック」や「グルダンゴ」、「オールマイティ」などは、総じて比重を付けず、軽く仕上がるように作られている。ヘラブナの寄りを真っ先に考えると、エサは重さより軽さを重視するからにほかならないからで、一度作ったエサを重くするのは簡単だが、逆に軽くするのは難しいとも言える。比重を付けたければ、「粒ペレG・S」や、「キープ」、「底一番」などをあとから加えることで充分可能であるが、さて、軽くしようと考えた場合、「しめかっつけ」や「ライト」を相当量加えなければならないだろう。だから最初に作る元エサは、なるべく軽く仕上げるようにする。途中、ウワズリや、エサが持っていないと感じたら、練り込むのではなく、比重を付けてなじみ幅を出すようにしてきた。BASICのエサは、誰でもたやすく、圧のかけ方でハリ持ちのいいエサになるのだが、タナができる前は、ヘラブナのあおりやウワズリでなじみがでないこともある。これをエサが持っていないと勘違いして、練ってしまうと死にエサとなり、エサがポンピングされたり、寄りが悪くなったりする。
そこで、創られたのが「ダンゴにマッチ」であり、あくまでもブレンドエサとしての特性を集約させた逸品なのである。エサをしっかりなじませたい時、まとまり良く芯残りさせたい時、深いタナまで持たせたい時、あらゆるエサと相性の良い「ダンゴにマッチ」を加えることでボールの中のエサを簡単にグレードアップさせることができるのだ。
小池の伸ばした竿は12尺で、道糸はバリバス プロバージョンV ブラウン 1号、ハリス バリバス プロバージョンV 0.4号 35・45cm、ハリ 上下グラン鈎 3号という仕掛をセット。タナ一本半の両ダンゴでスタートした。すると、打ち始めからジャミの気配がウキに現れ、エサのなじみが悪いように思われるが、小池は一向に気にかける気配はない。
「ヘラが寄るとなじむよ!」と、言いながら、ボウルのエサを5・6回手を熊手状にしてかき混ぜる。

「押しつけるんじゃないよ、押しつけるとボソが潰れるから、かき混ぜるだけ。これでほら、なじみが出たでしょ」ウキはエサ落ち目盛を通過して、二節のなじみをみせる。そして、そこからズバッと入った。エサ、打ち始めからわずか10分後にダンゴで釣れたのだ。

小池の周囲に他の釣り人が集まり始める。「小池さん、どんなエサですか?」誰もが、質問は同じである。小池は、そのひとりひとりに何度も同じ答えを返していく。
「ダンゴにマッチ、絶対の自信作!」小池の口は饒舌だが、目はウキに、左手はエサボウルから離れない。ウキ二目盛のなじみ、そこからズバッ!次はいい型が出た。写真に収める。

小池は、「食い頃」という言葉を良く使う。ハリ付けしたエサが、水中で溶けたり、削られたりして、小豆大ほどに小さくなった状態のことを「食い頃」というのだ。エサが食い頃にならない限り、食いアタリは出ないし、アタッてもカラツンになるという。まず、小池のエサはこんな大きさである。

そう、一円玉よりまだ小さい。このエサだから、水中で削られて小豆大になるにはそれほど時間はかからない。時間がかからないから、釣りのテンポがよく、エサ付けから、アタリ、合わせ、そして次のエサまでのサイクルが短くなるのは当然だ。しかし、そのためには、早くエサが溶け、それでいて小豆大になるまで芯残りするエサでなければならない、という大きな矛盾が立ちはだかっている。

BASICの両ダンゴシリーズ、例えば「単品爆釣!! A」を裏書き通りに作り、このような実験をしていただきたい。できあがったエサを丸め、水中に落とす。ほとんど沈んでいかないから、玉網でその周辺をかき回して、人工的に「アオリ」を入れてやる。するとエサは周囲が削られ小さくなっていくが、小豆大の大きさまでいくともうそれ以上小さくならないことがよく分かるはずだ。だから、エサは絶対に持っているし、なじまないのは軽さとアオリのせいなのだと理解すると、BASICのエサは「決して練り込まず、作ったそのままの状態でハリ付けしてください」というキャッチコピーも自ずと頷けるはず。
麩エサは、練り込まないと芯残りしない。だが、練り込んだエサだと小豆大になるまで時間がかかり、それまでにカラツンになって釣れない。この矛盾、悪循環に、釣り人は永年頭を抱えてきたのだったのだ。そこに、どのようなエサにもブレンド性に優れた「ダンゴにマッチ」を加えたことで、エサをタナに入れることに成功した。今日の配合、「オールマイティ」「グルダンゴ」「ベーシック」だけでは最後の30cm入らなかったエサが、入った。アオリを通過したことで、そのまま食ってしまった。

周囲のセット釣りや底釣りの釣況を聞いて回ると、ほとんどの人が、二、三枚でまだまだオデコの人もいる。そんな中、小池はすでに20枚を超え、まるで例会中のように一心不乱に釣り続けている。
「小池さん、充分釣れましたし、昼で腹も減ったので取材打ち切りにしましょう」
無理にでも竿を置かせないと、いつまでも釣りを続ける小池。長年これだけ釣ってきてもまだまだ釣り足りないのだろう、羨ましいかぎりの童心めいた純粋さにまた触れた気がした。
その生来の釣り好きと、持続力、向上心がまたまた新たに結実したのが、「ダンゴにマッチ」なのだと確信するに至った。

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